カナディアンガールズーCanadian Girls

Javis Provencial Park 1
Javis Provencial Park 1

みなさん

お元気にお過ごしですか? 

こちらは右を見ると青空と太陽がのぞき、左を見るとダークグレーの雲が手ですくえそうなほど近くに降りてチリのような雪が降ってくる、という週末でした。

 

この週末は妄想の時間はなく、久しぶりに生徒になって人々と混じって学ぶという機会を得ました。 それはCPR&First Aidのコースでした。

 

救急事態でけがをしたり、倒れている人をどう手当てをして対処するかというのが内容です。 内容はもとより、Canadianと混じって何かする、ということは大きな学びなのですが、久しぶりに「これこれ」というカルチャーの違いを楽しみました。

 

インストラクターはジャニー,28歳ですでに8年間もこの赤十字のコースを教えているというベテラン。参加者はリンジー:28歳 幼稚園前の子供2人の母親で近くのコミュニティーセンターにてシニアとキッズを相手に働いている。ジェイン:17歳 まだ高校生でナースの勉強をしている。 ケイティー:年齢はわからないけれど明らかにティーンか20代、スポーツセンターでリセプションとキッズのケアーをしている。この三人に混じってかなり年長の私、で進行されました。

 

子持ちなのはリンジーだけですが、ジャニーが冒頭で「子供を持ったらこのコースは誰でも受けておくべきだと思うわ。」といっていました。いや本当に、大抵は職業で必須となっているので受ける人が多いコースですが(そして私もその一人)、最低限の応急処置や救急手当など、知っていなくてはならない内容です。

Javis Park2
Javis Park2

コースは朝8時から午後4時半まで週末2日間のスケジュール、のはずだったのですが、何とも効率的、そしてフレキシブルというのでしょうか、合計10時間満ずに終わりました。理由は1.初日にインストラクターのジャニーが2時半にアポがあるためそれ前に終わらなくてはならない、2.参加者数に合わせて時間を変えることはある。 ということでした。

 

効率的、フレキシブル、そしてマイペースというのは明らかに日本では見ることのない特徴だ、と思うのですが、それなりにこの3っつを兼ね備えたほかの若手の参加者3人からも、一瞬、このスケジュール変更に「へー、いいの?」という沈黙の声が聞こえました。結論から言って、まったく問題なく、すべてをカバーして、わかりやすく、実用的で覚えやすく身につく指導、そして何より退屈することなくちゃっちゃとクラスが進み早く帰れたのです。 それに加えて、ジャニーはインストラクターとしての気遣い、クラス構成、クラスのエネルギーをずっと上げ続けるためのエネルギーを持ち合わせた、申し分ない人でありました。

 

Javis Park3
Javis Park3

人は見かけで判断してはいけませんが、日本にいると、クラスを受ける「姿勢」みたいなものが大切にされる気がするんです。それは決してうわべだけのものだとは思わないのですが、こちらの文化では、そういう態度の良い悪いにかかわらず、素のままで中身重視、または結果重視だよなあ・・・といつもあなどれない気持ちにさせられます。

 

母親といってもまだあどけなさが残るリンジーは、クラスに入ってきて隣に座るなりべらべらしゃべりだし、「あ、(ヨーグルトを食べる)スプーン忘れちゃったわ。」とか、クラス中に携帯電話を受けて、外に出て戻って来た後、その内容をみんなにしゃべったり、とにかく自分の友人や自分の経験をつい持ち出します。申し込みの際に払うはずの受講料をまだ払っていず、「今日中に」のはずが、「明日でもいいかしら?」になったり。けれど、いい質問をするし、講師の質問にも答えます。 しっかりしていることに、職場にはCPRを持っている人がいないから、もし自分がCPRを教えられるようになったら稼げるかも、と思ったそうで、ジャニーのようになるには何が必要か、そしてその仕事の云々をズバッと聞いたり。 でもこれはなかなか興味深い質問で、ついみんな耳をダンボにしてました。

 

ケイティーは初日、始まる時間を30分間違えて入ってきて、授業が始まって1時間すると、もぐもぐ朝食を取り出して食べだしました。2日目も午前中だけの授業でしたが、始まってから、そして途中途中、何かいいにおいをさせもぐもぐ。「あら、こういうのは初めてね、歯を磨くのを見たのは。」とジャニーが言うので、「?」っとおもって振り向くと、「ごめん、私食べた後は我慢できないの。ごめんなさい。」と片手に歯ブラシを持ってしまうケイティー。「いいことよ。歯を粗末にする人は心臓も大体悪いから。いいことだと思って指摘しただけよ。」とジャニー。比較的、愛想笑いはなく、マイペースでメモは取ることも少ないのですが、堂々としていて、いざ腕を包帯で巻いて肩にかける実習になったら、迷いなくさっさと行います。これはCPRを実際行うためにはかなり大切な要素だ、と思うんです。「え、こうかな?これでいいのかな?」というのが全くないのです。

 

年少の17歳のジェインは一番周囲に気を使うなあ、という印象があり、一見おとなしそう。でも、チョーキング(のどに何か詰まっている状態)のロールプレを突然頼まれたたら、一瞬照れくささが見えたのですが、見事何の恥じらいもなくスムーズに見本を見せます。ああ、将来が楽しみね、と、おせっかいおばさんの気持ちです。

 

最終日は、ペアーを作っていろいろなロールプレーをすることに。手を事故できって、その手が床に転がっている状態の人、心臓発作でよくみられる症状を抱えて(ただし、胸の痛みではない)持っている薬をわざとあげてはいけない薬にする、テンカンの発作が起こって道で倒れている、など、いろいろなシナリオで演じるように言われ、もう一人の救助役はシナリオの内容を知りません。手当以外にも判断が迫られます。その症状はいったい何の疑いがあり、どういう質問をすればいいのか、救急車を呼ぶのか、呼ばなくていいのか、そのタイミングはいつか、など。

 

教わった通りその場でやるのはなかなか難しく、ロールプレーなのにドキドキ、何するんだっけ、と落ち着くのが難しいこと。 ジャニーが「血がいっぱいながれているよ。」とか、多少あおってきます。 

 

まったくユニークなガールズでしたけれど、何よりもみんな真剣に取り組んで、知識を得て終了。 「今日の午後からもし実践しなくてはならない場合、みんなできるわね」というジャニーの質問には迷いなくイエス。「やってやるわ」ぐらいの意気込みを感じる、この自信がすごいわ~とまた関心。 そんな私に気付きジャニーが私に突っ込んできましたけれど。

 

その夜、「みんなすごいわ―、その場でよく覚えるの。一見集中していないように見えてもね。私は家でテキストを復習してやっと覚えられるというのに。」とダーリンにいうと、「ま、若いっていうのもあるね。」と、慰めにならない慰め。

 

どうぞ皆様、お気をつけて、一週間をお過ごしください。

 

Shizuko