ある日のリクリエーションーA Recreation of a day

みなさん

 

日本は猛暑と聞いております。 お元気でしょうか?

 

カナダでは相次いで大きな災害と事故がありました。一つはトロント(東側にあるオンタリオ州都市)での洪水。 つい最近カルガリーでもあったばかりなので、またか、という感じです。そしてもう一つは、ケベック州で起きた石油を運ぶ列車の事故。 どちらも被害はカナダの歴史的に大きなものだそうです。

列車事故は予想できなかったものとしても、災害に備える、ということに関してはついつい怠ってしまいがちです。しかし日常生活にかかわる個人レベルでは許されても、企業や公の組織となると話は違います。 某スタジオに就職していたとき、週一回のミーティングでは、ある問題が起きると、そこから展開してもしもの場合はどうするか、ということをかなり奥深く話し合いがあったり、ルールやマニュアルを作り、混乱や危険、責任問題に対応できるように真剣な取り組みが行われていたのを思い出します。

それとは逆に、つい最近、後から考えるとちょっぴりドキッとする体験をさせてもらいました。身体に障害を抱える方が住むBethanyという施設であったある催しでのこと。リクリエーションを担当するステファニーが、この日の朝に大型バスを隣町から運転してきました。彼女は8歳と6歳になるお子さんの母親ですが、まったく頼もしい限りです。6名の参加者をDQ(デイリークイーンというファーストフード店)に連れて行きランチをする、というのが本日の内容。 ボランティアで集まったのは6名ですが、そのうち二人は障害を持っている女の子達で、その子達をケアしながら来ている2人の女性を含みます。

 

半分以上が車いすの方なので、バスにはしっかり車いすを移動させる機能が付いています。一人一人部屋から外に連れ出して、バスに乗せ、やっと出発。DQは歩いて10分以内のところですが(我が家からは3分)、この移動のために、わざわざ隣町まで専用のバスの調達をしてくるという、なかなか大がかりなものです。 

施設内では健康を考えて、比較的ヘルシーな食事が用意されているのを見ているので、オーダーする内容も限られているのかな、と思いきや、何でも好きなものをオーダーしていいとのこと。 みんな高齢者だったのですが、この日ばかりはオニオンリング、ハンバーガー、フレンチフライ、シェイク、デザートにアイスクリームと、なかなか普通のオーダー。 

 

ところで、ここにいる役員2人と6人のボランティアは、誰一人ナースではないので、トイレに行きたくなった人を持ち上げて車いすから降ろすことは許可されていません。半分以上の参加者が自分で用をすますことができる状態ですが、いろんなことが、万が一何かあった場合の備えなしで行われ(すくなくとも私にはそう映るのですが)、無事終了。 DQだって、特に予約を入れていたわけでもなさそうでした。 もちろん、いざとなればそこにいるみんなで手助けして解決するっていうことになるわけでしょうけど。 このような、マニュアルに頼らず常識を使って、とにかくアクティビティーをさせることを重視するという環境は、ちょっと新鮮で、かつ暖かいものではありました。

 

食事中はみんなもオーダーして、一緒に時を楽しむ、というスタンス。 これも意外と大事なことだと思ったのは、役員は役員として神経を張りつめてそこにいて、あとで役員同士食事をする、という形だって存在するわけです。おそらくナースたちの役割は、後者よりなんでしょうが、ステファニーの立場や、ボランティアという役割になると、まったく前者に重点が置かれています。 

危険度を考えると何がいいか悪いか、という問題はあるでしょうが、少なくとも自分を特別視することなく、そこにいる人と一緒だ、ということを学べたひと時でした。

 

次の日、施設を訪れ、前日一緒にバスツアーをした方に挨拶をすると「あら、すごく久しぶりね。」と言われたので、「ええ、本当に」と返します。また初めから、学ばせてもらいます。

 

みなさん、暑い中、どうぞ休み休みお過ごしください。

 

Shizuko