お金で買えないパンーBread Not For Sale

風に舞う粉雪 on the way to teach
風に舞う粉雪 on the way to teach

春めいてきましたでしょうか? 3月ですね。

 

最近凝りもせず、天然酵母を作ってパンを作れないかなあ~と実験中です。本を読む度に、「手間がかかるなあ」と思いながら・・・。そんな矢先、これまた本棚でぴか~~っと光っていた本があり手に取ってみると、レシピ本というよりおしゃれな写真がいっぱいで見ているだけで楽しい本。そのタイトルは”Bread Exchange" 。去年出版された本で英語版とスウェーデン語版が出ているようですが、ドイツ語版も出たとか出るとか。 著者はスウェーデン人のMalin Elmlidという女性です。 ブログはこちら

日本語版は出ていませんが、もしかしたら時間の問題かもしれませんね。

本に載っているのはサワードーフパンが基本ですが、イースト菌を使わずに酵母は水とライ麦粉で起こすという。ここからちょっと私の興味をひきました。 そして何よりのコンセプトは、彼女は作ったパンをお金以外の心のこもったもの、または自分よりうまくできた物(事)と交換する、というものです。旅行好きの彼女が行った先でパンを作っている所や、ナチュラル感たっぷりなのにスタイリッシュな感じの写真がたくさん含まれてます。

 

「またー、余裕のある人のヒッピー感覚のお話しじゃない~」とひねくれながらもちょっと面白くて調べてみると・・・。

 

スウェーデン人のMalinはファッション関係の出版社で働いていました(おしゃれなわけです)。 多くの人が健康趣向に走り、「白いパンは体に良くない(太る)」という傾向の中、彼女も例外にもれずパンを食べるのをやめました。 しかし、パン抜きの生活というのは味気ないもので、やっぱりパンを食べたいと思いだします。 ならば良質なパンだけを食べようと決意。それにしても本当に良質なパンを手に入れるのって、貧富の差は関係なく困難なこの世の中。それはすべて「お金」にしか重点を置かないから(と彼女は言っています)。要するに、安い小麦で仕上げて簡単な製法で大量生産されたパンがほとんどであると。そこで、自らヘルシーでおいしいパンを作るしかないと、昔ながらの作り方でサワードーフを焼くスウェーディンでは由緒あるパン屋に修業へ。

晴れたり雪が舞ったり、典型的な春の気候
晴れたり雪が舞ったり、典型的な春の気候

そうして、上質の小麦、上質の水、上質の塩を使って先ほどの製法で自らパンを焼くことに。毎回いっぱい焼きあがるそのパンを、初めは家族や友達に分けていたそうです。すると次第に人々がトレード、つまりお返しに何かをくれるようになり、そこから、トレードとしてお金ではなくて、なにか自分より上手で心がこもったものとの交換が始まったということ。

 

今ではネットワークができているようですが、そのキーワードは旅行好き、デザイン好き、食べ物好き、という仲間が多いそうです。 お金で売らないわけは、「誰が自分のパンの価格を決められるだろうか? 私のパンは最良質の材料を使っていてお金がかかるし、時間もかかっているし、お金にしたらきっと高くなるから、誰がそんな高いパンを買いたいだろうか」という点。 なるほど、ここはアメリカでビジネスを専攻した彼女の現実的な観点。

TEDでもスピーチをした彼女ですが、それはきっとこの発想が誰も思いつかずやったことのないことだったからかと思います。ちなみに、スピーチ自体はちょっと緊張気味だったかな(興味のあるかたはこちら)。何よりも、パンを作る彼女の心と作るにあたっての詳細へのこだわりが人の心を動かし、時にはあまりにも高価なフィルハーモニー楽団のチケット2枚をもらったこともあると。パンとの交換には確かに高価すぎ。でも、スピーチで言ってます。1年ちょっとあたりは、お返しなどもらわなくとも、とにかくパンをあげていたと。だから、「大事なのは何もお返しを期待せずあげるという行為ですね」と。「そうすればその倍以上に返ってくる」と。「だからこそこの"Bread Exchange"がこんなにグローバルに成功したんだと思う」と。 誰しもいいクオリティーで良いもがほしい。それを手に入れたときは、感謝を持って幸せになりますね。できればいつもそういう生活をしたいです。彼女は自らそんな生活を試みて、さらに他の人にも与えた。

ここでまた、どうしようもなく現実的でひねくれた見方をすると、例えば、彼女の使っている小麦や塩を多くの人が求めるようになったら、これまたこんな人口が多い世の中ですから限度があって、政府のとった大量生産はある意味仕方がないだろうとか、アートな部分が車輪の片方なら、もう片方の経済の車輪がしっかりしているからできたことだろうという声が、私の中から聞こえてくるのですけれど。

 

それにしても、昔なら衝動買いをしていた方ですが、いまでは「ちょっと待てよ」と一度インターネットで検索。 本を読まずともレシピ以外の部分はほぼ見たり読んだりしてしまったので、 そうなると、ほしいのは本ではなく、ほんの2,3ページのレシピの部分だけ。ああなんて現実主義なのだろうか・・・。

 

「ごめんなさい」と心で謝りながら、とにかく彼女から私が学んだこと;

1.手作りの(しかも最高に質にだわったもの)を人にあげるという行為。

  いらないものはプレゼントとしてあげない。(彼女も一時期そういうものをお返しにも   らった時期があったようで、「混乱したわ」と言ってました。)

2.パンは自分で作る(ベーグルとクロワッサンは今の所買う)

  小麦粉にこだわってみようっと。

3.ピラティスも将来的には10%をexchangeにできたらなあ。

(思えばこれだって本当は価格をつけられない、トレーニングや知識習得に時間と                   お金をかけた、楽しくて心のこもった私の提供なのだし。)

4.そのためにも経済の車輪を持つこと(また一から始める気でいる)

5.これからもGoodyな情報をブログでシェアし続けよう。

 

またすぐに~♡

Shizuko